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訳:ペース配分ができない

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さぼってんじゃねーよ

「雲雀さんが、地下の屋敷以外に部屋を持ってる?」
「タレコミになんのか、これ。まぁ多分この写真の建物の中なんだけど」
「……築半世紀くらい経ってそうだね……」
「中は新しいとか? やっぱり雲雀だし、あいつ潔癖そうじゃん。気になるだろ? 雲雀は連絡つかないときに、ここに居るってもっぱらの噂だぜ」


※雲雀が電波

(ここが雲雀さんの……秘密基地……)
 ごくりと綱吉は喉を鳴らす。
 一見して、築半世紀は経過しているであろう古びたぼろアパート。先に仕入れた情報では、外見はひどい有様だが、中はとても綺麗なつくりだという。
 カモフラージュではないようだが、潔癖症だともっぱらのうわさの雲雀恭弥が出入りしていることを考えると、確かに綺麗そうではある。
 流されてここまで来てしまったが、いまさら戻るのも示しがつかない。大体にして、連絡が取れなくなる雲雀が悪いのだと、意を決して、目の前の雲雀の部屋のドアノブをひねる。
 不法侵入なんて知らない。手袋はしてあるし、見たところ監視カメラもない。なかったことにするのはとても簡単だ。ただし、中に雲雀恭弥がいる事実を確かめるためにここに居るので、雲雀の存在を確認するためには本人在宅でなければならない。
 最初はゆっくり、しかし、一応は昼間だというのに、部屋の中は明度が低すぎて、暗闇に見える。暗順応できていない目もあるだろうが、それにしたって暗い部屋であることに間違いはない。
 どういうことだと綱吉が訝り、ついでにもう面倒くさいといわんばかりにドアを開け放つと、その先には理解しがたい光景が広がっていた。
 開け放したドアだけが照らす室内でも、異質さは充分に伝わってきた。
 カーテンは閉ざされている。完全な遮光カーテンではないようで、仄かに窓からも光は差していた。
 そんな薄暗い部屋は、足首までのミニサイズもあれば天井近くまで伸びる高さのものもある、言わば針のむしろ。
 ワンルームの狭い部屋は、キッチンまで隙間無く、サボテンで埋め尽くされていた。
 呆気にとられ口を開きっぱなしだった綱吉も、その中に獣道のようなスペースを発見して、動き出す。
 その僅かに見える道に導かれるように、綱吉は部屋の中へと進むが、棘が気になって進めない。
 確かに人間が通れる道であるが、これは、文字通り一歩間違えば泣きを見る。
 漫画やゲームで見るような背の高いサボテンを何とか避けたところで、人間の後頭部が見えた。
「雲雀さん?」
 声をかける。どうにも雰囲気が雲雀のものだと感じられずに、更に覗き込むと、そこには確かに、雲雀が居た。雲雀恭弥が、サボテンに囲まれて体育座りをしている。
「……何してるんですか」
 これは聞きたくないな、と思ったが、義務感に背を蹴飛ばされて問いかけた。
 どう考えても、これは一般常識が通用しない世界だ。ここだけが、そういう世界に書き換えられている。どうにもこの空間は少しばかり歪んで狂って潰されひしゃげているようだ。
「……生きることに疲れたんだよ……」
 少しだけ振り向いて見下した視線を送った後、雲雀は少しだけ自嘲を含んだ口調で答えた。
 そのままそっくり視線を返した綱吉が居たのは言うまでもない。


 タレコミの元である山本に、結果をどのように話せばいいか、綱吉は悩み疲れてしまった。いいやそもそも報告をするべきなのか、黙っておくべきなのか。このまま黙って自分だけの秘密として抱えていたら綱吉こそが狂ってしまう気がした。
 あの部屋で雲雀が何をしているか。ただの好奇心で、廃墟を探検するような感覚で調査を決めてしまったが、これほどまでひどい有様だとは想定もしなかった。
 誰が想像できただろうか。幻覚を使ったり宇宙と交信したり地底人だったり、果ては自分も空を飛ぶが、そんなことはもうこの際どうでもいい。
 綱吉はぽつりと呟いた。考えすぎて頭が疲れ、目の焦点すらまともに合わせられない。考えたくないことを考え続けると人間は疲弊しきってしまう。
「サボテンって炒め物にするのが美味しいんだっけ……?」




さぼってんじゃねーよ…サボテンと戯れてる暇じゃねーだろ…
はっは…昨日の妄想。

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